1年目
品種選びと植付け
我が家の果樹としては、ブルーベリーとジューンベリー(果樹と言えるか微妙ですが)を地植えにしています。香酸柑橘(柚子やレモンなど酸っぱい果汁や香りを楽しむ柑橘)も庭に欲しいという思いがありました。本やネットで品種を調べてみたところ、'璃の香'という品種が目に留まりました。
'璃の香'は農研機構が作出したリスボンレモンと日向夏の交配品種で、果実が大きく果汁が豊富、酸味はまろやか種が少ないうえ、病気に強くトゲ少なめで耐寒性もまずますとのことで、注目の新品種のようでした。
www.naro.go.jp新品種なので価格はかなり高めだったのですが、少しでも早く収穫したいと思い1.5mの大苗を大福樹苗園さんのネットショップから購入しました。
地植えで育てるか、鉢植えにするかについては、我が家の庭は既に雑木がたくさん入っていて日当たりの良い場所が殆ど残っていないこと、県内でも我が家より温暖な地域で地植えのレモンを育てている方が寒波で寒害に遭ったとの話を聞いたこともあり、鉢植えで育てることにしました。
レモン苗の植え付け時には3本立ちの開芯樹形にするため、主幹をかなり切り詰めるのが推奨されているようですが、せっかくの大苗なので切り詰めるのはもったい無いと思い、穂先を軽く剪定してテラコッタの40cm鉢に植付けました。
4月には新梢が伸び出し、蕾も膨らんできました。
斜め植え準備
その後、「現代農業」で、「カンキツの斜め植え&腹接ぎ」という記事を読みました。
これは、斜めに苗を植えることで頂芽優勢を抑制し、元の穂先に実が付きやすく早く収穫できる。株元から出た枝を主幹候補にして伸ばすことで最終的には通常の開芯樹形に仕立てることが可能。さらに安価な品種の株元に高価な品種を接木することで低コストで成園できるという技術でした。
接木はともかく、成長も収穫も早くなるというのは非常に魅力的だったので試して見ることにしましたが、苗は既に立てて植えてしまっています。
そこで、斜めへの植え換えはある程度根が張るであろう翌3月頃まで待つことにし、鉢ごと斜めに置くことで頂芽優勢を抑制することにしました。
レンガに鉢の片端を載せ、鉄筋杭で倒れないよう支えて夏前頃から斜め管理を始めたところ、狙い通り株元の枝が伸びてきました。しかし、残念ながら2021年は全く実が成りませんでした。
2年目
冬の間は霜に当たらないよう南側の軒下に置き、風よけに筒状にしたポリ袋を掛けて管理していましたが、すす病が発生して葉の表面が黒く汚れてしまいました。写真を見直すと葉色も黄色くなってしまっていますね。
斜め植えに移行
傾けて管理を続けた鉢を正立に戻した様子です。
鉢を立てた状態でも主幹が斜めに傾くよう植え直した後の状態です。鉢の表面はバークチップでマルチングしています。
2022年は夏の写真を撮っておらず、いきなり10月の状態です。相変わらず葉色が悪く、葉数もあまり増えていません。この年も花は咲いたのですが、実は一つも残りませんでした。
今にして思えば、購入時18cmポットぐらいだった苗を一気に40cm鉢に鉢上げしてしまったので栄養成長が優先されて、2年目も実が付かなかったのかも知れません。若いうちから実を付けさせて株の成長を遅らせるよりは良かったと思いたいのですが、早く収穫したくて高価な大苗を買った意味は何だったのかと複雑な心境です。
3年目
2022-2023年の冬も南側軒下でポリ袋風よけ管理を行ったところ、この年もすす病が発生しました。すす病を放置するのは良くないと思い、消毒用エタノールを含ませたキッチンペーパーで葉の表面を拭いて表面のカビを除去しました。その後すす病は目立たなくなり、エタノールの薬害も目で見える限り無かったので効果はあったようです。
アゲハの幼虫が時々発生しますが、アゲハを養えるほどの葉数は無いので、テデトールで対処しました。
鉢植えとは言え、3本開芯仕立てにすると庭が狭くなるので、ウッドフェンスに添わせるエスパリエ仕立てで樹形を作る方針です。
待望の小さな果実が見つかりました。
ミカンコナジラミ対策
'璃の香'を入れた年から枝葉を触ると白い小虫が飛び立つのは認識していたのですが、ミカンコナジラミの成虫だったようで、葉裏に幼虫が発生していました。どうやら、すす病もミカンコナジラミが原因だったようなので、葉裏に幼虫を見つけた際にはなるべく歯ブラシで掻き落とすようにしました。
その後、7月頃からバラのために散布したニームの残りを'璃の香'にも散布するようにしました。
果実の成長
果実は2つ残り、だんだん大きくなってきました。アゲハの卵が付いています。これも見つけ次第除去!
卵や幼虫が付いているとテデトールしてしまいますが、アゲハが庭に来ると嬉しいものです(勝手ですが・・・)。
コナジラミ対策や施肥に気をつけたおかげか、葉色が大分濃くなっています。
11月には黄色く色付いてきました。
収穫
'璃の香'の収穫時期は11月下旬頃が適期のようですが、なんとなく先送りしてしまい、12月下旬に収穫しました。収穫できたのは2個で、266gと211gでした。農研機構の資料では'璃の香'の果実重量は198gとなっています。着果数が少なかったおかげか大きめのサイズで収穫することが出来ました。
カットしてみると、触れ込み通り果皮が薄くてタネは少なく、果汁もたっぷりでジューシーです。香りは交配親の日向夏とレモンの中間と言った感じで、レモンらしい香りを求める方には少し物足りないかも知れません。酸味は普通のレモンよりも確かにまろやかですが、そのまま囓るとやっぱり酸っぱい顔になってしまいます(>_<)。
1個をはちみつレモンに、もう1個は料理に絞って使い、どちらも美味しく頂きました。
'璃の香'はたっぷりの果汁を活かして、ジュースや製菓材料に使うのが一番持ち味を発揮できるように思います。収穫量が増えてきたら色々と試してみたいものです。