植栽
ハイノキは常緑樹でありながら、葉が密に茂らず幹枝を透かして見ることができる涼やかな樹形である上、春には清楚な白花も楽しめることから、雑木の庭の人気樹種の一つだと思います。
私の庭にも是非取り入れたいと思い、希望する樹種として造園業者さんに伝え、作庭時に1本植えて貰いました。
樹高1.8mの3本株で、植栽場所はリビングの正面のヤブツバキとブルーベリーの間です。
衰弱の進行
しかし、植栽2年目頃から少しずつ枯れ枝が目立つようになってきました。
植栽3年目を迎えた冬には葉がかなり少なくなり、淋しい姿になってしまいました。
ハイノキは山口県では標高500m程度の山地で高木下に低層木として自生しているのを見たことがあります。植栽場所は南境界ぎりぎりに隣家の差し掛けがありますが、太陽高度が高い時間帯には直射日光が当たるので、日当たりで弱ってしまったように思いました。
また、ハイノキの向かって左手にあるヤブツバキは南側の植栽の中で少しリビング側に張り出すように植えられています。幅の狭い南庭の植栽帯で平面的になりがちな植栽配置を立体的にする効果はあるのですが、リビング前が少し狭くなるのとヤブツバキ後ろの空間を活かしにくいことが気になっていました。
そこで、ハイノキをヤブツバキが植わっている場所の後ろに移植し、ハイノキが植わっている場所にヤブツバキを移すことで、ハイノキをアオダモとヤブツバキで挟んで日射を軽減してはどうかと考えました。
しかし、既に弱っているハイノキをそのまま移植してしまうと根が傷んで更に弱らせてしまう可能性があります。そこで根回しを事前に行った上で移植することにしました。
根回し
まず根鉢の周りの土を掘り出します。周辺の表土はバーク堆肥でマルチングしたり、下草が根づいたりしたことで、有機質に富んだ黒っぽい良い土になっていますが、少し深い場所は作庭時に敷き込んだ真砂土そのままの状態に近いようでした。
根鉢の周りを確認して驚きました。生産者による出荷前に作られたと思われる根鉢の外には、ほとんど根が伸びていなかったのです。このような状態ではハイノキが衰弱するのも無理はありません。
移植時にせっかく伸びた根を切ってしまわないため、堀上げた穴の外周にカットした堆肥のプラ袋を敷き込んで、遮根シートとしました。その後、掘り出した根鉢の周りをバーク堆肥で埋め戻しました。バーク堆肥には発根促進効果があるそうです。
なお、この方法は「絵で分かる樹木の育て方(講談社)」で紹介されていた林試式移植法を参考にしました。
ヤブツバキも同様に作業しました。この写真右上のハイノキは根回し・埋め戻し作業を終えた状態です。
ヤブツバキの根鉢からはかなり根が出ているように見えますが、穴の外周から出ている根は隣のアオダモの根だったので、侵入してきたアオダモの根の方が多かったのかも知れません。
根回し後の経過
根回し約4ヶ月後のハイノキです。2月の写真と比べると少し葉が増えたようです。根鉢の周りを遮根シートで囲んでいるので、水やりは多めに与えていました。
その後、3本株のうち1本は葉が殆ど芽吹かなかったので株元でカットしたため、2本株になってしまいました。
常緑樹は梅雨前頃が移植適期とされているようですが、その時期だと移植時に周辺の草花を傷めてしまうため、根回し11ヶ月後となる2024年1月に移植を行うことにしました。
移植
まず、ハイノキの移植先となるヤブツバキ後ろのスペースに植え穴を掘ります。この場所には写真上の方に写っているアオダモの根がかなり伸びていたため、この根を切断する必要がありました。
次に、植え穴の底には排水を促すため、縦穴を掘って軽石で埋め戻しました。
その後、植え穴の土にはバーク堆肥とパーライトを混ぜ込んで土壌改良し、旺盛に伸びてくるアオダモの根にハイノキが負けないよう、アルミメッシュを敷き込んで根域制限を図りました。
この際に冬眠中のカナヘビを掘り起こしてしまいました。穴を掘らない場所に落ち葉を掛けて戻しておきましたが、無事に冬を越してくれることを願います。
根回ししていたハイノキを堀上げたところです。バーク堆肥の効果でしょうか、根鉢の側面には沢山の細根が伸びていました。
ところが、根鉢の底面には全くといって良いほど根が伸びていません。
根鉢は粘土質の土を堅く突き固めて作られているようで、このままでは移植後も下方向に根を伸ばすのは難しいと思われました。そこで、根鉢底面の土をある程度掻き落として植えることにしました。
ツバキは直根性なので移植時に下に伸びた根を切ってしまうのが心配だったのですが、その心配は杞憂でした。ハイノキと同様、側面は旺盛に発根している一方、底面の発根は殆どありませんでした。
ヤブツバキを掘り起こした穴です。こちらも土壌改良を施して埋め戻しました。
ハイノキの植わっていた場所にヤブツバキを、ヤブツバキが植わっていた場所に鉢で管理していたコムラサキを植付け、下草を植え戻して移植作業終了としました。
樹木の植え付け時には、通常は水で土と根鉢を密着させる水極めや、土を棒などで突き込んで密着させる土極めを行います。しかし、根回しの際に根鉢をバーク堆肥で軽く埋め戻した状態での発根が良好だったことから、今回はあえて水極め・土極めせず、根鉢の周りの土を軽く踏み込んだだけとし、支柱で移植樹を支えることにしました*1。
まとめ
弱っていたハイノキはアオダモとヤブツバキの間に移植したので、夏場でも直射日光を受けることは少なくなると思います。又、事前の根回しと植え穴の土壌改良で根張りの改善も期待したいところです。
ハイノキが弱った原因については、日射が強すぎたこと、植栽時の土壌改良が不十分だったこともあると思いますが、ガチガチに固まった粘土質の根鉢で根の呼吸・伸長が妨げられていたことも影響していたと思います。
粘土質の土で根鉢を作ったのは移植時の根鉢の崩れ防止の意味があるでしょうし、同時に植栽したアオダモなど他の樹種は問題なく育っているので粘土質の根鉢が必ずしも悪いわけではないと思います。ですが、ハイノキなど樹種によっては発根を優先した根鉢の作り方を検討して頂きたいものです。
*1:今回は2本とも2m以下の低木だったので、この方法でも大丈夫と判断しました