たまたまトゲなしテリハノイバラを見つけたことがきっかけで、日本原産の野生バラについて本やネットで調べてみました。その中でもヤマイバラ(Rosa sambucina)は日本原産種の中でも花が大きく、多花性、大きな株では辺り一面に香りが広がるとのことで、興味をそそられました。
中部地方南部~九州の主に山地に分布しており、瀬戸内海沿岸では海岸部にも自生しているようです。5月頃から移動のついでに山道に回り道するなどして探してみましたが、見つかる野バラはノイバラばかりでした。
6月上旬に休みが取れたので、少し遠出して県内山間部の林道を走っていたところ、それらしいシュートが目に留まりました。
小葉2対の奇数羽根状複葉(5枚葉)、小葉はノイバラ類としては大きく光沢があり、頂小葉の先は長く伸びています。
トゲは大きく鉤状に曲がっており、托葉は細く全縁で線毛があります。これらの特徴からヤマイバラと判断しました。新芽や若い茎は紅色を帯びていて奇麗でした。
この付近を探してみたところ、林道脇には若い株が何本も見つかりました。
少し先の河原で樹高10mほどの木に登った大きな株を見つけました。ヤマイバラの花期は5~6月とされていますが、残念ながら花は付いていませんでした。
大きな株の根本を見てみたところ、直径3-4cm程度の立派な株でした。シュートには強いトゲがありますが、太くなった主幹にはトゲは無く、茶色の樹皮に覆われていました。
河原に生えている若い株もありました。河原や林道わき、崩壊地などに形成される明るい空き地(ギャップ)で発芽し、近くの高木などに這い登って光を獲得する戦略をとっているようです。
ヤマイバラは地域によってはレッドリスト掲載種になっているようですが、山口県では2023年6月現在、対象となっていませんでしたので少し枝をもらうことにしました。
林道わきの駐車スペースで間違いなく草刈りが入るであろう場所に生えていた今年発生したと思われるシュートと、河原の大きな株の昨年出たと思われるシュートから枝を採取しました。
その2に続きます。